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見て、コアラの森よ ―幼児の表現活動を探る―

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見て、コアラの森よ ―幼児の表現活動を探る―

<内容>
 この幼稚園では秋に、全園で動物園へ遠足に行った。
 新しい経験が、子どもたちにどんな影響を与えるかを探ってみる意図もあった。
 絵本やテレビで見馴れた動物であったが、実物の大きさや変った習性などは、子どもたちを感動させ、好奇心をそそるに十分で、その場で動物のしぐさを真似る子どもたちもいた。
 さて帰園してからの子どもたちが、どんなに活発な表現をだすか、先生たちには楽しみであった。しかし今度は子どもから何か表現が出るのを待つことにした。子どもたちの内面で表現したい欲求が熟すには時間がかかり、個人差も大きいからである。

 三日目、先生は庭の雲梯に、小さなタイヤとロープを吊してみた。チンパンジーが遊んでいた道具で、子どもたちにその連想と反応を期待したのだ。
 ところが子どもたちはそれを単なる遊具と受取っただけで特別の動きはあらわれなかった。先生の予想は見事に外れたのだ。
 翌日は室内にえのぐを出しておいた。さすがに子どもたちはいろいろな動物を、印象鮮やかに描き始めた。また部屋の一隅では、仲よしの明子ちゃんとさと子ちゃんが、空箱などを探し集めて何かを作り始めたが、それは次第にキリンになっていた。
 明子ちゃんは、細い紙を巻いて尻尾を作り、耳の位置を写真で確め、右から左から全体像を観察し、目を輝やかせてちっとも休むことがない。しっかりした課題に向っている充実した姿だ。
 しかし首の長いのに比べ、極端に短い足はどう考えているのだろう。 明子ちゃんは自分で実際に乗れるキリンが作りたいらしく、先生は出来栄えよりも、そのアイデアを大事にしたいと思った。
 その日はお天気がよく、庭の石山でも多くの子どもたちが遊んでいた。 先生はそばに来た女の子二人に「あら、あそこに猿山があるわよ」と声をかけてみた。
 するとその子たちは途端に猿の表情と身振りで歩き出し、それを見た他の子たちも「キャッ、キャッ!」と猿の鳴声で遊び始めて、石山はたちまち猿山に変った。
 猿の表現が出たら、続いてサイだの象だのになる子もいて、広い園庭のあちこちに動物別のテリトリ一もつくられた。
 この頃、明子ちゃんのグループは傘型登攀棒に手づくりの葉っぱをつけるのにいっしょうけんめいだった。コアラが住む森をつくるのだという。先生はその思いつきをすばらしいと思った。
 明子ちゃんは葉っぱを片手に、鉄棒を攀じ登る苦しい斗いを、何度も何度もくりかえした。彼女の想像力が描き出した森を実現させるために……。日頃は目立たない存在だったという彼女を、こんな積極的にさせたものは何だろう。

 遊びが大分もりあがったので、動物園ごっこをしようという事で、年少組がお客さんでやってきた。
 見る方も、見られる方も真剣であった。 臨機応変に、園庭全体に活動の場を拡げたこの試みはなかなかユニークだ。

 こうして友だち同志、そして年少と年長が交流して互に刺激し合い、育ち合ってゆくところが幼稚園の姿かも知れない。
 もし、劇的活動などもこのような感動的な経験の積み重ねの中からつくり出されたら、創造性を伸ばす面からその意義は大きいだろう。

文部省特選

日本映画教育協会
英映画社
カラー20分

製作 高橋銀三郎
演出 千石秀夫
脚本 藤原智子
撮影 藤井敏貴、千葉寛、小林治
音楽 小沢直与志
効果 小森護雄
照明 高橋洋一
製作担当 宮下英一
現像 東洋現像所

手づくりの生きがい ―生活文化の伝承―

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手づくりの生きがい ―生活文化の伝承―

<内容>
四百年つづいてきた東京世田谷のボロ市は、今年も盛況をきわめた。こうした郷愁を誘うような行事が、年毎に賑わいを増していますが、一体何が人びとをひきつけるのでしょう。

●あるマンモス団地でも毎年暮れに、餅つきを行ないます。手間ひまかけて餅つきなどをしたい気持ちは、どうして起こるのでしょう。ものが豊富 に出回わり、便利になった暮らしの中で、私たちは生活の基本的な技術とか、人間的な情緒を次第に失ないつゝあることも事実です。
 団地の人たちは、こゝで育つ子どもたちに、故郷の味をつくってやりたいのだといゝます。
●ふるさとの味といえば、文字通り郷土料理ではないでしょうか。代々伝えられてきた、手づくりの家庭料理、それは永い時間の中で生れた生活文化の一つです。
 山梨の家庭では、中学三年の少女が祖母と母に習って「ほうとう」をつくります。こんな時には調理法だけでなく、たべものをつくる主婦のたしなみなども自然に教えられてきた事が感じられます。
 最近では農村でも三世代の家族が一緒に暮らす家が少なくなり、このような伝承の機会も少なくなりました。

 その伝承を存続させる新しい試みが、社会教育の活動として始まっています。
 その例を各地に取材しました。

●公民館の婦人学級で学んだ、いろいろな紐結びの講習。
●老人クラブの協力で子ども会が行なった、ロ一カル色豊かな独楽づくりと遊び。
●正藍染めや機織りを研究し、楽しんでいるグループの活動。
●ある市では高齢者からレクリエ一ション研究会の青年たちを通して、昔からの遊び道具のつくり方や遊び方が伝えられています。
 青年たちは、指導方法に研究を加え、それを各地区の子ども会のリーダ一に教えます。
 リ一ダ一たちは、それぞれの地区に帰って、習ってきたものを仲間と一 緒につくって遊びます。この伝承の仕組みが、地域ですっかり根づいているのです。

 遊びに限らず、暮らしの中に受け継がれ、伝えられてきたものは、人間 のあたたかさや知恵のすばらしさを感じさせます。そしてそれは私たちの営みを支え、人と人をつなぐ大切な役割を果たしているのではないでしょうか。

文部省選定

日本映画教育協会
英映画社
カラー28分

製作 高橋銀三郎
演出 千石秀夫
脚本 藤原智子
撮影 藤井敏貴、千葉寛
音楽 真鍋理一郎
解説 平光淳之助
効果 小森護雄
照明 高橋洋一
製作担当 長井貢
現像 東洋現像所

煙の恐ろしさ

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煙の恐ろしさ

日本損害保険協会
英映画社
カラー28分

推薦 自治省消防庁
指導 自治省消防庁、東京消防庁
監督 青山通春

幼稚園 ―幼児の活動と教師の役割―

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幼稚園 ―幼児の活動と教師の役割―

文部省特選

英映画社
カラー22分

製作 高橋銀三郎
演出 千石秀夫
脚本 藤原智子
撮影 宮下英一、千葉寛
音楽 小沢直与志
解説 鈴木健二
製作担当 長井貢
現像 東洋現像所
取材協力 東京都文京区立西方幼稚園、東京都世田谷区立松丘幼稚園
レコード 東芝EMI

東京 大江戸の春

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東京 大江戸の春

町と記録シリーズ①
講談社
英映画社
カラー29分

協力 国立劇場、東京都教育委員会、東京都公文書館、津山市郷土館、成田山資料館、出光美術館、三越資料館、早稲田大学演劇博物館、渡邊木版美術画舗、林恵子
企画製作 野間省一、高橋銀三郎
脚本 藤原智子
演出 山添哲
撮影 江連高元
照明 伴野功
音楽 間宮芳生
解説 城達也
効果 小森護雄
録音 甲藤勇
演出助手 船津一
撮影助手 小林治
製作担当 宮下英一、内海穂高
現像 東洋現像所

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