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街を守る子たち

 ある小都市の小学校です。
 千太たちのクラブでは、こんどの展覧会に何を研究発表するか、さかんな討論です。
千太「…………僕のうちでもこの間火事になりそうなことがあったんです」、
先生「火事の研究という問題が出ましたが、みんなはどう思う」
秋本「賛成、わたし大賛成です」
 一番に手をあげたのは、焼け出されて転校してきた女生徒でした。
秋本「火事の本当の恐ろしさは、実際に火事にあった人でないと、よく判らないと思います」。北風の強い夜空を染める物凄い火焔――あの恐ろしかった夜のことがまざまざと秋本さんの脳裡に浮かんで来ました。
秋本「その時の火事は、たき火が原因だったんだそうです、消したはづのたき火がどうして燃え出したのか、そういうことをみんなで研究してみたらいゝと思います」
先生「いゝ研究だね、日本のような貧乏な国が毎年火事の為に約三百億円もの大変な財産を灰にしているんだ、それだけのお金を役立つことに使つたら、日本の国もどんなによくなるか判らないね」
 こうしたことが動機で、千太たちのクラブでは火事の研究が活潑に行われていきました。どんな家が燃えやすいか、燃えにくいか、また、どういう条件の時によく燃えるのか、又、どうしたら燃えない工夫が出来るのかをみんなで実験してみました。
 また、自分たちの街がいざという時に、消防自動車は通れるか、消火栓が何かに邪魔されてはいないか等調べて歩きました。こうして千太たちのクラブ活動はどんどんはかどっていよいよ展覧会の日が参りました。子供たちの研究発表は大したものでした。まちのお父さんや、お母さんを大変感心させました。こんなことが動機で街に「防火委員会」が発足して大人たちの火災予防の仕事がはじめられるようになりました。
 
 
文部省選定
全日本P.R映画コンクール入賞

日本損害保険協会
英映画社
白黒20分

脚本 丸山章治
演出 衣笠十四三
撮影 広川朝次郎
照明 吉田章
録音 井上俊彦