カテゴリ

カテゴリ:劇

明日に向って

カテゴリ:

明日に向って

財団法人古紙再生促進センター
英映画社
カラー26分

監督:堀内甲

希望の船

カテゴリ:

希望の船

<内容>
 瀬田信子は、長男の高校3年の恵一を学校へ送り出すと、自分も荷物を纏めて家を出た。瀬田家は、大分県国東半島の港を碇汕地にする190屯の貨物船「香徳丸」の船主である。香徳丸の船長が病気のため、船長資格を持っている信子が代りにまた船に乗ることになった。夫の貞夫は機関長で、信子が操縦する香徳丸は港を出航した。
 昭和33年頃、信子は当時、瀬戸内海を石炭輸送する木造機帆船の機関夫として働いていた貞夫と結婚した。船は職場であり、又住む家でもあった。
 船上生活者の毎日は、陸の人には想像もつかない苛酷なものであった。数年の間に、長女の増子、次女の純子、長男の恵一が生まれた。シケに会い家族もろとも海底の藻屑と消えるような恐ろしい目に何度か会い、子供の養育のためもあって、長女と次女を人に頼んで陸へあげた。夫婦の切なる望みは、小さくても自分の船を持ち、ボロ家でも陸に家を持つことであった。
 その頃、貞夫の誠実な人柄を認めていた先輩が、機帆船の購入資金を無利子無担保で貨して呉れ、瀬田夫婦は機帆船の船主になった。昭和40年頃、我が国は高度経済成長時代に入った。そのため、零細海運業者の協業化が進められ、瀬田夫婦は清水の舞台から飛び降りる気持で、大型貨物船の建造に着手した。昭和46年、5千万円近い建造資金を銀行から信用貸しで借り受ける事が出来、「香徳丸」は進水した。やっと夫婦の苦労が実って、信子も陸にあがって子供の養育に専念出来る事になったのも束の間、船員がサラリーマンになってしまい、代りの船員が見つかるまでの半年を信子はまた、中学・小学生の3人の子供を家に残して香徳丸での船上生活を余儀 なくされた。
 3人の子供は両親の留守を守り、母の家計簿を下敷にして共同生活を始めた。恵一が子供心にも船乗りになって家の後を継ぐ決意をするなど、あの時期が瀬田家の今日の幸せを築いた試練の時であったと、今にして信子は思うのだった。
 今、長女は大学、次女は会社勤め、船員の資格もとった恵一は高校3年生。しかし、信子はなにかと船に乗る事が多く、家族5人が一つ家に集まるのは盆か正月しかない。今年も盆が来て、貞夫もやっと家に帰った。両親は成長した子供達の楽しい語らいに目をうるませる。来年は恵一が香徳丸の船員となる。貞夫の感激は又ひとしおであった。
 昔の船上生活を偲ぼうと、家族5人は香徳丸に乗って瀬戸内を走った。母が船長、父が機関長、船員の恵一が操縦する香徳丸は、新たな希望に燃えて瀬戸内海の波を切って進んだ。


貯蓄増強中央委員会
英映画社
カラー35分

製作 服部悌三郎、長井貢
脚本・演出 堀内甲
撮影 江連高元
照明 平野清久
編集 近藤光雄
音楽 青山八郎
美術 川崎軍二
記録 藤沢すみ子
現像 東洋現像所
録音 (株)録音処
出演 原知佐子前田昌明杉山とく子剛達人中野今日子片山由美子手塚学、川野真樹子、宮沢奈穂美、宇山勝樹

嫁ぐ我が子に

カテゴリ:

とつぐ我が子に

<ものがたり>
 長野県松本市に住む主婦、伊東和子にとって、現在の幸せは 長い苦労の末やっと手にしたかけ替えのない生活だ。その平穏にふと波立ちを起こしたのが急にもち上った長女の結婚話― 。
 長女の靖子はまだ20才になったばかり。職場で知り合った青年との恋愛に気付いたのはつい最近の事だ。
 嫁がせるにしても、せめてもう少し世の中がわかってからにしてほしいと母は願う。が青年の転勤を間近かにして、靖子は結婚をあせり、父母の言葉に耳をかそうともしなかった。
 思案にくれていた和子は、夫の順平にすゝめられ、靖子をつれて追憶の旅に出た。
 その旅で母と娘がたどった追憶とは― ― 。
 和子夫婦が結ばれたのは22年前の北海道の炭坑町。幸せだった。しかしその幸せもやがて起ったエネルギー革命の嵐の中で、 あっという間に消え去っていった。
 閉山された炭坑をあとに、東京へ出た夫婦を待っていたのは大都会の厳しい生活――。時には追いつめられ、死を思う事さえあった。しかし夫婦は必死に生活を立て直した。
 今は廃虚となったかつての炭住街、10数年のうちにすっかり変った東京の下町― ― 。そこには苦難にみちた一家の歴史がきざみこまれていた。
 『長い夫婦の歴史には、きっと苦しい、どうにもならない時 もある。そんな時こそ、支えあい、力になりあえる夫婦の愛情、 それを育てようという気構えが、貴女たち2 人の場合にもなければならないと思うの』当時のことをふりかえりながら語る和子。それは本当の夫婦の愛情とは何か、結婚の意味は何かを問いかける言葉であった。
 母の愛が靖子をあたゝかく包んだ。
 『結婚は、もう少しいろいろなことを勉強してからにする』
 旅行から帰って靖子は明るく母に告げた。
 そんな娘に、和子は旅が決して無駄ではなかったと思う。そしてこれからも激しく移り変り、社会不安の多い世相であればこそ、恋愛や結婚、そして家庭について、しっかりした考え方を持ってほしいと思う。
 やがて嫁ぐわが子に、和子は心からそれを祈るのだった。


文部省特選
教育映画祭文部大臣賞

貯蓄増強中央委員会
英映画社
カラー33分

製作 高橋銀三郎
脚本演出 酒井修
撮影 渡辺勇、千葉寛
照明 徳永忠
音楽 小沢直与志
録音 木村勝己
製作担当 長井貢
現像 東洋現像所
キャスト 小田切みき可知靖之、四方正美、中村瀇二、大山貴子、望月太郎

北ぐにのとも子

カテゴリ:

北ぐにのとも子

<ものがたり>
 北海道小樽市の冬。今夜も総合病院で老人達の看病をする井上とも子は、まだ17才。看護婦養成所を出たばかり。
 積丹半島の小さな牧場に育った彼女は、きびしい日々の生活の中で、年老いた祖母をいたわり、 大切にしながら働く父母を見て育った。 そのくせ彼女が物心つく頃の一家は、牧場を近代酪農に切りかえる為の一番苦しい時期で、父や母は子どもたちには、経済的にも心理的にもきびしかった。
 甘え盛りのとも子たちの淋しきを、慰めいたわってくれたのはおばあちゃん。 だからとも子はおばあちゃんの為なら、 どんな事でもしてあげたいと思うようになった。
中学だけで看護婦になる決心をし今の職場を選んだのも、くるしい生活の中で胸をはって働き、祖母を大切にする両親の生活から、人が人として働く事の本当の意味と、年寄りの面倒をみ、世話 をするのは、人が人として生きる為の当然の務めだと、彼女は彼女なりに学んだからだ。
 併し、今此の病院で接する多くの老人達の生活は、あまりにも淋しい。貧しく退院しても行き場のない人。豊かなのに自分から老人ホームに入ろうとする人。肉親からの手紙一つ来ず淋しさを施設の子らとの文通でまぎらわす老人、等々。疎外され、孤独なその姿に、とも子はとまどい、泣き、時には怒りさえ感じ、悩む。
 が、その喜びや悲しみの中から、彼女は今、老人達が必死に求めているものに気付きはじめてい る。 それは接する人の真心。そして誠意なのだと―。そのとも子はまだ真赤な顔の17才。今夜も心の中で、故郷の祖母に、語りかけるのだ。 「いつまでも長生きしてね。 いつまでも、 いつまでも元気でいてね……」 と。


文部省特選
教育映画祭文部大臣賞

貯蓄増強中央委員会
英映画社
カラー33分

製作 高橋銀三郎
脚本演出 酒井修
撮影 渡辺勇
照明 徳永忠
音楽 小沢直与志
録音 赤坂修一
製作担当 瀧川正年
キャスト 山内三砂江、本間文子吉川満子、岡崎夏子、和沢昌治鶴丸睦彦

このページのトップヘ

見出し画像
×