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ふるさとからくり風土記-八女福島の燈籠人形-

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ふるさとからくり風土記-八女福島の燈籠人形-

<解説>
 八幡宮には、大きな大きな楠が天をおおって、中秋の名月が出ていても、境内はまっくらです。だから、境内に組まれた三層の人形屋台の各階の軒に、吊るせるだけの提灯をともすと、屋台はひときわ明かるく輝き、屋台そのものが鱗光を発しているのではないか、と思われるのです。その屋台の中から、タッポポタポポと陽気なお囃子が聞こえてきます。お囃子にあわせて、明かるく照らしだされた舞台の、 咲き乱れる花園にかかる橋の上で、背丈二尺たらずのお姫様が、絢爛たる衣をひるがえして舞うのです。 この人形からくり「国指定重要無形民俗文化財 八女福島の燈籠人形」が伝え残されている北九州、八女――三方をゆるやかな山脈で囲まれ、一方を有明湾に開いている理想的な地形の平野で、大陸から渡来した稲作文化が最初に定着した一帯です。古代人の古墳や遺跡も数多くみられます。この平野は稲作 生産力を背景に、さまざまなモノを自給自足し、やがて、有用の美を求める職人の町が育っていきます。 江戸期になり、製紙、製蠟が盛んになると、八幡様の氏子たちはお祭りのとき、人形燈籠を奉納する嗜好を思いつきます。やがて、大阪に人形浄瑠璃が生まれ、竹田からくりに人気が集まっているのを知り、 職人たちはたちまちからくり仕掛けを考案して、人 形を作り、不夜城の如く提灯をともして八幡様にご覧にいれようと思いたったのです。18世紀の半ばのことでした。たった一夜の、神にささげる宴のために、大工棟梁たちは工夫をこらした継手、仕口で、釘1本使わずに三層の木造屋台を組みあげ、日頃遊芸にいれあげた職人さんは、その音曲を披露し、 その囃子にのせて若い衆たちは工夫をこらしたからくり人形を操るのです。舞台の袖には、人形の後見人の名目で威儀をただした男の子が座ります。 毎年毎年、くり返される人形たちの舞いと、人々のにぎわいを、境内の大楠は静かに見続けてきたのです。そして、来年もまた……これは日本の、日本人の心のふるさとでもあるのです。


芸術作品賞
文部省選定
優秀映画鑑賞会推薦
日本映画ペンクラブ推薦

シリーズ ―民俗芸能の心―
ポーラ伝統文化振興財団
英映画社
カラー31分

監修 高橋秀雄
協力 文化庁文化保護部
八女市教育委員会
八女福島の燈籠人形保存会
製作 宮下英一
プロデューサー 長井貢
演出 松川八洲雄
撮影 清水良雄
照明 前田基男
録音 加藤一郎
効果 井橋正美
解説 来宮良子
撮影助手 小林治、北条豊
現像 IMAGICA
録音所 読売スタジオ

-琵琶湖・長浜- 曳山まつり

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-琵琶湖・長浜- 曳山まつり

 霊峰伊吹山のふもと、湖北・長浜は、昔から琵琶湖の交通のかなめ、 大陸の文化を奈良・京都へと運んだ町。そして、とりわけ絹は、元禄期に「浜ちりめん」となって日本中に広まり、この地は商業・工業の一大中心地として栄えた。
 寒風に舞っていた粉雪が、いつしか春風に乗って桜吹雪に変わるころ、この町は、にぎやかなシャギリの音とともに一挙に活気づく。春の饗宴「長浜・曳山まつり」だ。
 まつりの中心はなんといっても子供狂言。曳山の舞台で5、6歳から11、12歳までの男の子が、それぞれの役のかつらや衣裳をつけて、 実に可憐で堂々とした役者ぶりを披露。さながら錦絵を見るおもい。
 このまつりの準備は、まだ春の先触れも感じられない2月初めごろから進められる。春休みに入るといよいよ稽古が始まる。若い衆は手分けして、家庭教師のように役者を担当し、親以上に世話をする。役者がすべて。ほかの山組には負けられない。幼い役者たちも与えられた役を懸命に学ぶ。4月に入る。そして、裸まいりとともにまつりのエネルギーは一気に過熱。本日ほんびを迎える。
 曳山の舞台の周りは名演技を見ようとぎっしり人垣でうまる。かわいい役者が見得をきる。「待ってました!」「親の顔が見たい!」その身ぶりに目に涙さえ浮べて、うっとりと見入る人。太棹で誦じる浄瑠璃を口ずさむ古老たち。あちこちで「きれいやな」とか「どこどこの子やでー」とかささやきながら熱い視線をそそぐ観衆。
 記録によると、200年以上も前に今のまつりの形式はすでに完成されていたという。裕福だった町衆たちは、12の山組それぞれに財をかたむけて曳山を豪華に飾りたてて、そしてその曳山の上で子供狂言を競いあう。これは当時の新らしもの好きの町衆たちの思いついた新らしい趣好だったのだろう。
 山組ごとに「中老」と呼ばれる町衆と、働きざかりの「若い衆」、そして男の子たちの「役者」と、この3世代がともに力を出しあってまつりは実現される。そして何よりもユニークなのは、まつりの主役の座を子供に占めさせている仕組みである。すなわち、狂言を演じた子供たちは、必ずまつりの魅力にとりつかれ、若い衆に成長したら、自分のことのように子供役者の面倒をみる。そして町衆となっては当然のことのように、まつりの負担人となって盛りたてていく。つまり、 この3世代の絶え間ない更新は、まつりを永久に存続させることになるだろう。という先祖のあざやかな思いつきに気づくのである。
 千秋楽。シャギリが郷愁に追いうちをかける。やり遂げた男たち。 まつりの終りはまつりの始まり。長浜の町のどこかで男の子が生れる。またまた、まつりは続くに違いない。


文部省選定
芸術作品賞
優秀映画鑑賞会推薦
日本映画ペンクラブ推薦
日本紹介映画コンクール金賞
優秀映像教材選奨優秀作品賞

シリーズ ―民俗芸能の心―
ポーラ伝統文化振興財団
英映画社
カラー32分

監修 高橋秀雄
プロデューサー 六鹿英雄、古平恭子
製作 服部悌三郎、宮下英一
脚本・監督 松川八洲雄
撮影 江連高元
照明 前田基男
録音 加藤一郎
ナレーター 原ひさ子
演出助手 鈴木康敬
撮影助手 小林治、中井戸伸
照明助手 北沢保夫
録音助手 井橋正美
製作担当 内海穂高
録音 録音処
タイトル 菁映社
現像 東洋現像所
協力 文化庁文化財保護部、長浜市教育委員会、長浜曳山祭保存会、長浜曳山祭祭囃子保存会

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